リーマン・ショックは格付けが問題だった?
格付け会社の役割と問題点、歴史、急激な格下げの影響を整理。
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リーマン・ショックは格付けが問題だった?
リーマン・ショックにおける「格付け」は、危機の引き金を引き、被害を甚大にさせた最大の要因の一つと言われています。 背景と歴史を整理すると以下の通りです。
1. 格付けの何が問題だったのか?
「格付け」の本来の役割は、投資家に対して「その商品がどれくらい安全か」を教えることです。しかし、リーマン・ショック前には以下のような構造的欠陥がありました。
- 過大評価: サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)を複雑に組み合わせた金融商品に対し、格付け会社(ムーディーズやS&Pなど)は本来リスクが高いはずなのに、最高ランクの「AAA(トリプルA)」を付けてしまいました。
- ビジネスモデルの癒着: 格付け会社は「格付けを依頼した企業(発行体)」から手数料をもらう仕組みだったため、顧客を失わないよう甘い格付けを出す「利益相反」が起きていました。
- 虚偽の安心感: 投資家はこの「AAA」を鵜呑みにして大量購入し、リスクが世界中に拡散しました。
2. 格付けはいつから始まった?
格付けビジネスの起源は19世紀半ば、アメリカの鉄道建設ラッシュにまで遡ります。
- 1841年: 初の信用調査機関「マーカンタイル・エージェンシー(現在のダン&ブラッドストリートの前身)」が設立されました。
- 1850年代: ヘンリー・プール氏(S&Pの創始者の一人)が鉄道会社の統計情報の出版を開始。当時は投資家が広大な土地に広がる鉄道会社の経営状況を把握できなかったため、この情報が不可欠となりました。
- 1909年: ジョン・ムーディー氏(ムーディーズ創始者)が、鉄道債券に対して現在のような「アルファベットによる格付け記号」を初めて導入しました。
3. リーマン・ショックでいつ急落した?
格付け会社は危機の進行に対して「対応が遅すぎた」と批判されています。
- 直前まで高評価: リーマン・ブラザーズが破綻するわずか6日前まで、S&Pは「A」という投資適格の評価を維持していました。ムーディーズに至っては、破綻のわずか1営業日前まで格下げを待ちました。
- 一斉格下げのパニック: 2007年夏にサブプライム問題が表面化すると、2008年にかけてそれまで「AAA」だった数万件の証券が一斉に、しかも数段階(ノッチ)も一気に格下げされました。
- 市場の凍結: この急激な格下げにより、これらの証券を「安全資産」として持っていた銀行がパニックになり、投げ売りや取引停止(資金繰りの悪化)が発生し、世界的な金融危機へつながりました。
リーマン・ショックは、150年以上かけて築かれた「格付けという信用システム」が根底から崩れた出来事でもありました。 この格付けの失敗を受けて、その後規制がどう変わったかについても興味はありますか?